書評・レビュー

リッツ・カールトンで学んだ マンガでわかる超一流のおもてなし レビュー

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高野登著 【リッツ・カールトンで学んだ マンガでわかる超一流のおもてなし】のレビュー記事です。

全体の感想まとめ

・お客様に対していいサービスができるのは、働く人自身が大切にされていると実感出来た時である。
・プラスの言葉とマイナスの言葉では、「マイナスの言葉の方が出やすい」のが人間だが、マイナスの言葉は周囲に影響しマイナスを引き起こす
・常連客を一見と区別するのは当然である。多くを知っている常連客ならば、それに合わせたおもてなしをすることが大切。
・仕事をする時のプライド&ジョイ(誇りと喜び)を自分の中で意識する習慣を身に付けたい。
・自分の人生が良かったか悪かったかというのは、死ぬまでわからない。

レビュー詳細

 

レストランを舞台にしたマンガを下地として、リッツ・カールトンで培われている「おもてなし」の数々を紹介する本です。
よくある「ビジネス書のマンガ版」で、マンガとその解説がセットになって繰り返されていくスタイルとなっていますが、全体を通して自分が一番響いたなあと思ったのは「あとがき」でした。

最後に、リッツ・カールトンで、大事にしていた言葉を紹介しましょう。「プライド&ジョイ」というのですが、仕事をするときのプライド(つまり誇り)とジョイ(喜び)を、きちんと自分の中で意識する習慣を身につけよう、ということです。
(中略)
人生に落胆するような想いになることもあるでしょう。でも、自分の人生が良かったか悪かったかというのは、死ぬ時までわからないものです。
(Kindle版より引用 位置No.720~)

これが一番響きました。
人生において、仕事が占める時間というのは非常に大きいので、そこに誇りと喜びがあるかどうかは人生の質を大きく変える、ということになるわけですが、自分が死ぬ時に「ああ、自分が自分でよかった」と思えるなら、それほど幸せなことはないなあと、思うのです。
だから、起こる出来事に一喜一憂したり、振り回されてイライラしたり悲しくなったりということを経験しながら、芯の通った「自分のやりたいこと」を見て生きていきたいものですよね、と。自分の人生の評価を決めるのは自分。他人の評価がどうであれ、自分が幸せだと思っているならばそれは幸せなのであるということを、この言葉から想像し、少し幸せな気分になりました。

本の内容は、おもてなしの教科書として、参考にしたくなるものが多くあります。
例えば、「お客様との出会いに感謝するのは当然として、一緒に働く職場の仲間と出会えたことに感謝する。」というくだり。

お互い、仲間と一緒にわくわくした仕事をしようという意識を持てば、最高のチームで仕事をすることができるでしょう。お客様に対して、温かいサービスができるのは、そこで働く人たち自身が大切にされていると実感できたときです。
(Kindle版より引用 位置No.77~)

ワクワクすることをしよう。仕事に、どれだけ「ワクワク」を生み出せるか。
お客様に温かいサービスをしたいのなら、まずは従業員が「大切にされている」という実感が必要である、というのも響くところ。自分が大切にされていると感じている人は相手も大切にしようと思うものだけど、そうでない場合は「自分がされていると感じているように」人にも接するものだから、おもてなしのレベルは当然落ちてしまう、ということになるのでしょうね。

人間は面白いもので、きれいな言葉・勇気づける言葉と、馬鹿にする言葉・汚い言葉のどちらがたくさん出てくるかというと、後者のほうなんですね。
(Kindle版より引用 位置No.159~)

ここも響いた箇所です。働いている職場をよくしようとしたら、じゃあ、ワクワクすることをしたり、従業員が「大切にされている」と感じるためにはどうすればよいか、ということになるわけですが、この本で言うところの「馬鹿にする言葉・汚い言葉」=ネガティブな言葉は、周りをネガティブにしていって「大切にされている」感覚から遠ざけていってしまうのですよね。
実際自分も、ネガティブをやめてポジティブを出すようにしようと心がける(正確には「ネガティブなことを考えている自分も大切にした上で、言葉や態度に出す部分はポジティブにする」)ようにしているわけですが、これを意識していてもついついネガティブが口から出てしまうこともあるし、起こった出来事に対してとっさに浮かぶことは、とかくネガティブなことが多くあります。

ネガティブな言葉は、意識して出さないようにしよう(あるいは、ポジティブな言葉に言い換えよう)と思うくらいでちょうどいい、という感覚です。本書でもこの本文の後、

「では、この言葉を全部使わないことにしたら、すごくいいよね」と話し合うのです。
(Kindle版より引用 位置No.161~)

というようにつながっていますが、こういう意識を職場の人みんなが持つようになったら、それは素敵な職場になりそうだなあと。
ネガティブの方が共感を得やすいらしいので、とかくみんなネガティブを口にしがちですが、ネガティブはネガティブを呼び、自分も相手も、誰も幸せにしないなんてことがあったりするので、このへん意識していけたらいいですね、と。

後は、普段あまり意識してなくて、というかむしろ罪悪感を感じながらやってたなと思うのが「常連さんとそうでない人の区別」の話。

差別と区別は違います。
ファンをつくるサービス業・接客業であれば、常連さんと、そうでない人は、区別して当然です。好みがわかっている常連さんに対して、その人の好みに合わせたサービスができなければ、「常連」になる意味がありません。
(Kindle版より引用 位置No.366~)

いやー、なるほどー。確かにそうだなと思ってしまいました。
役所とかだと、本文で挙げられているように利用回数が多いから特別な対応をするとかいう発想にはならないのかもしれないけど、少しでも接客が絡む業界であれば、たくさん来ている人、つまり「相手のことをよくわかっている人」に対して、それを踏まえた最高のサービスを提供するというのは、当然のことであるという認識で問題ないのかもしれません。
ここになんとなく罪悪感を感じてしまうことがあるのは「全員に等しく同じサービスを提供しなければならない」という思い込みがあるからでしょうか。

総じて、おもてなしのなんたるかを知るのにはとても参考になる本でした。
クレドカードがあるとか、従業員1人1人に1日2000ドルの決裁権があるとか、この記事に記載していない具体的なエピソードは本の中にたくさんあるのですが、リッツ・カールトンというブランドがどのようにして作り上げられていったのか、という部分については、普段から従業員が「日常の考え方をどのようにしていくのか」というところに思いを馳せる習慣があるのだろうということを感じました。
マンガの中に出てくる会話で

「リッツ・カールトンだとこんな問題は起こらないんだろうね」
「まぁね うちのホテルはファンがファンを連れてくるからいつだって大盛況」
「それはリッツ・カールトンってブランドがあるからでしょ」
「それは逆だよ 僕たちがお客様に喜んでもらいたいと思ってサービスを超えるサービスをし続けたことで ファンがファンを呼んでくれるホテルになったんだ」
(Kindle版より引用 位置No.62~)

というのがありました。「今」の状況を見れば確かに、築き上げたブランドが人を呼ぶという側面もあるのだろうと思いますが、その根底にはまず「どういうホテルでありたいか」というマインドがあって、それを続けていたからそうなっていったのだろうなと想像します。

誇りと喜びを持って仕事にあたる、というところを大切にして、まずは自分から、理想とする挨拶、おもてなしの心を体現していけたらいいなあと思う本でした。

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