堀江貴文著 【時間革命 1秒もムダに生きるな】のレビュー記事です。
全体の感想まとめ
・時間ほどかけがえのないものはない。
・「他人の時間」(≒受動的)ではなく「自分の時間」(≒能動的)を生きることが大事である。
・「多忙」と「暇」は同義である。本当に充実していて、やりたいことができている時には「忙しい」という言葉は出てこない。「忙しい」が出てくる時は、本気になっていない証拠である。
・他人や世間など、自分がどうしようもないことに悩む時間は無駄である。
・「労働=つらい」という前提を捨て、「楽しいか、楽しくないか」に注目するべきである。
このあたりが、共感できたポイントでした。
レビュー詳細
ホリエモンの本は多数ありますが、時間に特化した本はこれが初めてだそうです。
自身が最も大切にしているもの「時間」をテーマに、その考え方や、自身で意識している使い方などについて書かれています。
「時間ほどかけがえのないものはない」
(Kindle版より引用 位置No.13~)
ホリエモンという人はお金持ちですが、貯金はしたことがなくお金に執着しないという人なので、価値観のトップにあるものは「時間」だということです。確かに、すごい業績を残している人ほど、確かにあんまりお金お金言ってないというか、資産は持っているけれどもそれをどう活用して次に活かすかということを優先して考えているというか、そんなイメージがあります。
この本の「時間」に関する解釈で数多く出てくる特徴は「自分の時間」「他人の時間」という表現でしょうか。
時間には2種類しかない。
「自分のための時間」と「他人のための時間」である。
「自分時間」とは、好きな仕事、趣味、やりたいこと、たのしいイベント、気の合う仲間との飲み会などである。
一方、「他人時間」とは、やらされている仕事、通勤、したくもない電話やメール、気を遣う飲み会といったところだろうか。
(Kindle版より引用 位置No.109~)
「やらされている=受動的」が他人の時間、「やりたくてやっている=能動的」が自分の時間、という感じのイメージかなと思います。やらされている仕事の代表格としては、意味があるのかないのかわからない報告しかしていない会議、とかそんなところでしょうか。ちなみに本書では「報告会議は時間の『集団自殺』」として批判の対象になっています。確かにまあ、資料を読み上げるだけの会議なら、やる意味もないというか、資料配って読んでおいてーでいいんじゃないの?と思うこともありますね。
ホリエモンがすごいのは、そういう会議だなと思ったら平気でスマホ操作しはじめたりとか、「自分の時間を生きる」ということを徹底できるというところではないかと思います。
「他人のために生きる時間」は無駄である=自分で感じている世間や、何を考えているか本当のことなどわからない他人のことに意味もなく時間を浪費するのはやめた方がいい、というような記載もあります。
あなたの行動に対して、どんな感情を抱くかは、上司や同僚、家族の側の問題である。あなたを罵倒したり、見下したりして気分がよくなるなら、勝手にそうさせておけばいい。他人から嫌われようと、どう思われようと、それはあなたの人生には関係のないことなのだ。
(Kindle版より引用 位置No.228~)
自分がどう行動するかを考えるのは「自分の課題」。
自分に対してどう行動するかを考えるのは「相手の課題」。
このあたりは、アドラー心理学で言うところの「課題の分離」に近い概念かなと思います。自分がコントロールできないものに対して不満を持ち続けたり述べたり、不安に感じてたりするのは、ただのエネルギーの無駄遣いだから気にせずさっさと動け、と言われているような気がします。
本書では、「忙しい」と口にしている人ほど、自分が勝手に思っているだけで実際にはそれほど生産性高く過ごしているわけでもなければ、充実した毎日を送っているわけでもなく、芸能人のゴシップやら不祥事を追いかけて叩きまくっていたり、ツイッターでクソリプ送ってきたりする。そのような人は「暇」なのである、と切り捨てます。
まあ確かに、自分がやりたいことで一生懸命な人って、人を攻撃したりすることに一生懸命、というようには見えない人が多いように思いますね。
ホリエモンはツイッターとかyoutubeとかを通じて一般人とケンカみたいなやり取りすることがたまにありますが、吹っかけられたケンカに応えているだけな気がします。たまに、炎上するのが楽しくてやってんのかな?と思ったり。
今後、どのような世界になっていくのかということについて書かれている部分では、
今後、ロボティクスやAI(人工知能)が発達していけば、ぼくたちの労働からは「食べるため」とか「稼ぐため」と言った意味は、ギリギリまで剥ぎ取られていくだろう。そうなると、仕事するのがイヤな人、もっとほかにやりたいことがある人は、働かなくてもいい社会がやってくるかもしれない。
(Kindle版より引用 位置No.638~)
という記載があります。
技術の進歩によって生産性が上がれば、これまでと同じ成果を出すのに必要な人間の数が減る=人間がやらなければいけない仕事が減る、という理屈で、働く必要がなくなってくるという考えがあります。
ベーシックインカムという形で全員が「贅沢はできないが生きるには困らない程度の収入」を得て、そこからさらに贅沢したいとか、やりたいことがある人だけ働くという世界がこの先現れてくる可能性がある、と。
「自分が楽しいと思う仕事しかするつもりがない」というのも、意識しておきたいことだなと思いました。
技術の発展に伴って、自分の好きなことをやってお金を稼ぐことができる時代になった、という考え方もあります。今自分がやっている仕事をどれだけ「楽しむか」、つまり「やりたい仕事を楽しくやっている=自分の時間を生きている」とするか「やりたくない仕事をやらされている=他人の時間を生きている」とするかは、その仕事がそうさせるのではなく自分がどうあるか次第である、ということです。
「これに何の意味があるのか」とか、そんなことはどうでもいい。目の前に現れたものに、徹底的にのめり込む--これが重要なのだ。極論すれば、最初は好きじゃなくてもいい。まずは何も考えずに、サルのようにハマる。そうすれば「好き」とか「たのしい」はあとからついてくる。
(Kindle版より引用 位置No.858~)
ザイアンスの法則(単純接触効果)というものがあります。簡単に言えば「接触回数が多いほど、好意を抱きやすくなる」というやつですが、最初楽しいと思っていなかったものでも、何回も何回も接する内に楽しいと思ったり、好きと思ったりすることがあったりします。まずは目の前のことにどっぷり浸かってみる、というのは、嫌だなあとかずっと思いながら仕事したり、自分がのめりこめる趣味を見つけたりすることよりも楽しく幸せに生きるヒントになるのではないかと思います。