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なぜ、あなたの思考は現実化しないのか? レビュー

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久家邦彦著【なぜ、あなたの思考は現実化しないのか?】のレビュー記事です。

全体の感想まとめ

・「思考は現実化する」は世の中の原理原則であり、正しい
・しかし、その現実化の元たる「正しい思考」を行うことは難しい
・正しい思考の邪魔をするのは「感情」。さらに言えば感情の中の「マイナスの信念」である
・マイナスの信念はセルフイメージに組み込まれているので、セルフイメージが上がればマイナスの信念は消える
・マイナスの信念を打破するためには、言葉が重要である

「思考は現実化する」という有名な言葉を元にして、自分の中の目標を現実化していくためにはどのように行動していけばよいのか、ということを書いてある本です。「感情」というキーワードが多く出てきますが、目標をイメージした時に首をもたげてくる「そうは言っても、できないんじゃないか」という「マイナスの信念」を、どう攻略していくか、というのがテーマになっていると思います。
一言で言うならば「日常使う言葉が、プラスの信念に向かうように意識していきましょう」ということになるかと思います。面白い本でした。

レビュー詳細

ナポレオン・ヒルの言わずと知れた名著「思考は現実化する」を筆頭に、いわゆるスピリチュアルな方面の自己啓発本には似たような概念がありがちです。「想えば叶う」とかそういうやつですね。

本書では、この「思考が現実化する」は人生の原理原則であるとしています。なぜ、あなたの思考は現実化しないのか?というタイトルからは、「思考は現実化する」が嘘だから、という内容の可能性もあるかと思いましたが違いました。

これらの思想に共通しているのは、「思考」がやがて「行動」となり、それが引き起こす結果が「思考の現実化」であるという前提です。

しかし、成功できない人、行動できない人は、そもそも思考自体が間違っています。つまり、正しい思考ができていないということに気づいたのです。
(Kindle版より引用 位置No.40〜)

思考が現実化しない、のではなく、そもそもの「思考」が間違っているという前提に立って、それをコントロールする方法を学んでいく。そういうコンセプトの本です。ポイントは「感情」です。

そこで、この本では2つのことをお伝えしていきます。
▶︎今日から誰にでもできる、感情をコントロールして思考を現実にする技術
▶︎「人生の質は、感情の質である」という真理
(Kindle版より引用 位置No.46〜)

一説には、思いが現実化した人は4%しかいないらしいです。
(正確には、あるセミナーを受けて、学んだことを実践する人が20%、さらにそれをゴールまで継続する人がその中の20%であるというデータです)
思考は現実化する、は正しい真理なのに、実際に現実化した人はほとんどいない。この事実からは「正しく思考すること」は難しいことなのだということが解釈できます。

夢や願望、やりたいことがあるのに行動に起こせない。
結構多くの人がそういう状態になっているものと思いますが、これは単純に「行動力がないから」という話ではありません。アドラー心理学でいうところの目的論で言えば「行動を起こさない」目的があるとも言えますし、そもそもそれを本当にやりたいと思っているのか?という問いもできそうです。
本書ではこの点について、行動を起こせないのは「思考そのものが間違っている」としています。

人が行動力を発揮するときに必要な要素が3つあります。それは次のものです。
1.自分がやっていることや、やろうとしていることに心の底から価値を感じていること
2.欲しいものを手にいれる方法を知っていること
3.「できない」というマイナスの信念やマイナスの感情がないこと
(Kindle版より引用 位置No.403〜)

このあたりは、いわゆる「引き寄せの法則」の類のもの全般に合致することかと思います。
なりたい姿(目標)が(もう既にそれを手に入れた状態と思うくらい)具体的にイメージできていて、そこにワクワクしていて(=価値を感じていて)、自分にはできる、と思っている時、具体的な行動を自然と取るようになり、結果として目標を達成する、夢が叶うという形です。

中でも3番目の「できない」というマイナスの信念・感情があると行動力を発揮できず、結果として思考が現実しないということにつながります。
この心の内にあるマイナスの信念を心理学用語で「内制止」と言い、さらにそれはセルフイメージの中に組み込まれています。
つまり、マイナスの信念を排除してセルフイメージを上げましょう、と、端的に言えばそういうことになります。

セルフイメージを上げる一番簡単な方法、として本書で挙げられているのは「その分野で一流で一番のロールモデルを見つけて、その人の真似をしてみること」です。自分が目標とするロールモデル=いわゆる「メンター」を、とりあえず真似てみることでそこに近づいていく、ということです。
さらには、周りの環境が与える影響も大きくあります。周りが当たり前のようにやっていることは、自分にも当たり前にできるはずだという感覚になりやすいので、周りが「なんでもできる」と思っている集団なのか「何もできない」と思っている集団なのかが、自分がどちらの方向に行くのかに大きく影響することは想像に難くないことと思います。

プラス思考が大切であることは、理論としてはわかるのだけど、でもそれは不安や恐れといった「感情」に影響されるので、プラス思考になかなか至れないということが生じてきます。

これを変えるための方法は「言葉」です。

マイナスの信念に従った感情を言葉にすることで、思考や行動にブレーキをかけているのです。
(Kindle版より引用 位置No.1033〜)

つまり、普段から使う言葉をプラスの信念に従ったものにすれば、思考や行動にはブレーキがかかりづらい状態となり、結果として思考が現実化する、という状況になりやすくなります。
人間の脳は「イメージが先、行動が後」。そして脳は、言葉にした時点で無意識にそれをイメージしてしまう。さらに言えば、そこは「否定語を理解できない」世界です。

「ピンクの象が歩いている姿を決してイメージしないでください」とか言われても、ピンクの象、と言われた瞬間に頭の中にはピンクの象がイメージされてしまっている、というやつです。

「言葉」を変えると、脳のなかの「イメージ」が変わります。そして「イメージ」が変わると、「感情」が変わり「行動」が変わるのです。
(Kindle版より引用 位置No.1287〜)

本書の中のこの言葉から、マザーテレサの言葉が思い出されました。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
ポイントは「全ては繋がっている」ということ。「思考」「言葉」が、巡り巡って「運命」=「現実」を作り上げている、ということです。

だから著者は、まずは使う「言葉」を変えましょう、という話をしています。
プラスの言葉を使うようにイメージすれば、脳はその度にその言葉をイメージするようになる、と。
マイナスの言葉を使う人には近寄らない、が正解。

本書中に書いてあることの中にはこれまで他の本などで学んだことと共通することが多く、やっぱりそうだよなあと、思い直すきっかけになりました。
・プラスの言葉を使うように心がける
(=ネガティブに思いがちなものは、ポジティブへ変換するクセをつける)
・物事の「いいところ探し」をクセにする
・目標は紙に書き出すだけでなく、具体的にイメージできるところまで意識する
(画像で毎日見るべき、という「神メンタル」のやり方も参考に)

このあたりを気をつけていこうと思いました。

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