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次のテクノロジーで世界はどう変わるのか レビュー

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山本康正著【次のテクノロジーで世界はどう変わるのか】のレビュー記事です。

全体の感想まとめ

・次のテクノロジー「5G」「AI」「クラウド+ビッグデータ」で世の中がどう変わっていくか、その予想を知ることができる。
・5Gが標準になりIoT(Internet of Things)が浸透すると、物を作って売る、というビジネススタイルは陳腐化する。
・中国企業のデータの取り方はえげつないので、今後ビッグデータを持つ中国が覇権を握る可能性が十分ある。
・自らがいる業界に、次のテクノロジーがどのように入ってきて、どのように生活が変化するのかを考えておきたい。
・頑張れ日本企業!

聞いたことはあるけどよくわかってない、いわゆる次世代のテクノロジーについて勉強したいなと思っていたところに、ちょうどいい本があったので読んでみました。
それぞれの技術がどのようなものなのか、技術的な視点の記載は少ないので、「世の中がどう変わっていき、またその中心がどこになるのか」と言う部分に焦点を当てて考えてみる機会になりました。

レビュー詳細

本書で言う「次のテクノロジー」とは「5G」「AI」「クラウド+ビッグデータ」のことを指しています。
これらの技術を使った世の中がどのように変化していくのか、またそれらを取り仕切るビジネスの本流となるのはどの会社なのか、ということについて書かれた本です。

いわゆる次世代のテクノロジーについて、あるいはそれにより世の中がどう変化するのか、ということについて、最近になるまであまり考えたことがありませんでした。

5G?・・・ああ、また速くなるんですね?いや、別に4Gでもあんまり困ってないけど・・・
AI?・・・ああ、なんか人がいらなくなるー的なやつね。オレの職業は将来なくなるんだろうか?

くらいの認識でした。
が、これらの技術の組み合わせは、法的な問題やらなんやらの問題をクリアしてようやく実現するとか、そもそも5Gも一気に広がるわけじゃない、AIも現時点で革新的なものに至っているわけじゃないとかいろいろな課題がありつつも、これまでの常識を一変させるものがあるということを、最近になって知る機会が多くなったわけです。
5Gなんかは、ここ数年特に注目を浴びてなかったと思うのですけど、昨年あたりから急に言われ始めて韓国とアメリカで始まって、日本でもソフトバンクのテレビCMとか流れて、みたいなのが増えてきました。
モノがなんでもインターネットに繋がっているというIoT(Internet of Things)の時代には、どのようなことが起こるのか。

またそこに対して本書にあるメッセージは、直接こそ書いていないものの「頑張れ日本企業!」というものがあると思います。

現在、世界の中心は間違いなくGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と言えるでしょうが、このままではこれからの世界もGAFA、あるいは本書で取り上げられているFAANG+M(Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Google、Microsoft)に牛耳られるか、中国のBATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)に持っていかれるぞ、ということですね。かつて高度経済成長時代に「モノ作り」で圧倒的な実力を見せつけていた日本企業が、これから先にどんなにいい「モノ」を作っても、それを活用するのに必要なクラウドやAIなどのシステムがGAFAの作ったものだったら、それはもう首根っこをGAFAに掴まれているようなものだ、と。

かつて4Gが始まったばかりの頃、ドコモのスマホに初めて機種変更して、まだまだ人口カバー率が低かった時代に、家だとLTE繋がってるけど職場だと3Gだなあーとか思っていたのが、ある日仕事を終えて帰ろうと思ったら職場でもLTE表示になってた、みたいなことがあったなあと思い出しました。
あの頃は確かにまだスマホも黎明期で、iPad2を電車の中で出すのもちょっと恥ずかしさを感じるくらいの時代で、その時に今のような状況はとても想像できていなかったなあ・・・と思います。

そこから8年くらいは経っているかと思うのですが、5Gもまた、普及に10年くらいかかって少しずつ広がっていくんだろうなと。その中で多分、特に注目されているのが5Gが超低遅延だから実現できると言われている「自動運転」に関してだと思うのですけど、完全な自動運転じゃなくても、駐車だけ完璧にやってくれる車があったら、自分もう多少お金かかってもたぶん買います。それに至るのにどのくらいかかるのかなあー、って、それが後10年以内に来るかもしれないと思ったらめちゃくちゃワクワクしてきました。
そのほか、医療(遠隔操作ロボット)だったりも様変わりして、全然遠いところにある病院にオンラインで診断してもらうとか、遠隔操作ロボットで手術してもらうみたいな時代も来るかもしれないと言うじゃないですか。医療の業界はきっと、法的な整備が遅れたりなんだりとあるので技術的に可能になった後でいろいろと大変なところがありそうですけど、その波に飲まれながら、楽しんで生きていけたらいいなあと思いました。

AIに関しては、人間の仕事が奪われる!みたいな、結構ネガティブな書き方されることも多いですが、一部の職はなくなるにしても生産性は絶対的に上がるわけなので、経済的にはきっとそっちの方が豊かになっているのですよね。もしかしたら、AIが働いてくれているおかげで人間は働かなくてもベーシックインカムを確保できて、みたいな世界ができるかもしれない。どちらかと言えば、そっちの世界を想像していた方が楽しいんじゃないかなと思います。

そのほか、この本を読んでいて思ったのは、こういった新しい技術が出てきて、それの活用には「データ」がとにかく大切ですよという話になった時に、日本だったらプライバシーの問題で絶対できないだろうなと言うようなえげつないデータの取り方も普通に国ぐるみでやってくる中国という国が、将来かなり影響力を持って来るんだろうなーということです。
普段から、ビジネスの世界が一変するという意識を持って、自分の今いる業界が新たなテクノロジーの導入によってどのように変化しているのか、またその変化の中で生き残って、なんならちょっとリッチに暮らすことができるようになるためにはどうすれば良いのか、常にアンテナ張り巡らせて生活するようにしよう、と思いました。

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