田中ウルヴェ京著【働く20代のメンタルコントロール術】のレビュー記事です。
全体の感想まとめ
メンタルコントロール自体は、本書のメインターゲットであろう「働く20代」以外にも有効なものですが、文体が平易で読みやすいので概要を知るのに役に立つ一冊だなあという印象です。
レビュー詳細
僕はもう30代も半ばでもう「20代」では全然ないので、本書が想定する読者層とはちょっと離れているのですが、本書を読んだ理由は「20代のうちに読んでおいた方がいいことを、知っていなかったら損してるんじゃね?」というものです。
まあ20代にせよ30代にせよ、人生を生きていればそれなりに苦難というか、ストレスに感じたりメンタルにダメージを食らっているなあと感じる出来事はそれなりの数あるわけで、そういう「ああ、こういうことってあるよね」という時の考え方のヒントとしては、役に立つだろうなと思いました。
ただし、クレーム対応とか、自分が自身にかけている「セルフトーク」についてなど「こういう時にはこういう考えをしましょう」というような書き方があって、「わかっているけど、そういう捉え方ができないから困るんだよなあ・・・」という感想を持つ部分もそれなりにあります。
もしも、今、ドヨーンとしているのであれば、それは素晴らしいことです!なぜならそれは、「今の自分は落ち込んでいるな」と気づけているということ。実はそれだけで素晴らしいことなんです!それがメンタルコントロールする上での最初のステップになります。(Kindle版より引用 位置No.152〜)
本書の冒頭にこのような記述があります。
「自分はストレスを感じているな」という認識を、できているということ。まずはそれについて「自分で自分を認める」ということが、メンタルコントロールには役に立ちます。
ひとつ、勘違いしていただきたくないのが、「メンタルコントロール」は、我慢をすることではないということです。
(Kindle版より引用 位置No.291〜)
ここ、重要だなあーと思いましたね。他の本でのいわゆる「仕事術」的なものであったりとか「夢はこうすれば叶う!」みたいな自己啓発本であったりとか、人生をより豊かにするための方法論というのは数多くあります。ダイエットをする方法も筋肉をつける方法も勉強法もたくさんあります。
でもそれらは全て「我慢してやっている」という感覚である限り、長続きしない。どうやって今置かれている状況、今まで「頑張って我慢している」という状況としか思えなかったそれを、「楽しくてたまらない!」と思えるようにするか。その捉え方は、どうやったら変わるかという部分を考えていくことが、根本を解決するのに有効だというのが、今の僕の考え方です。
ストレスが大きくなるのは、「自分ではどうにもできないこと」にとらわれているときです。メンタルコントロールでは、自分ができること、できないことをきちんと仕分けし、できることに集中することで、モチベーションの維持や達成感を得やすくなります。
(Kindle版より引用 位置No.334〜)
これも最近になって自分が実践して「いやー楽になったなあー」という実感がある部分です。
代表的なのは「人にどう思われているかが気になって、ストレスになる」というやつでしょうか。相手にどう思われているかは、本当はどうなのかわからないし自分には他人はコントロールできない(他人は変えられない)ので「気にしない」という選択が有効であり、かつ「できる」のですが、どうしてもそれが気になってしまう。そしてそれが、自分の行動にブレーキをかけてしまう原因になっている。
ここをどうやって「気にしない」という感覚にしていくか、というところが課題となるわけですが、僕の中でのカギは「自己肯定感」です。まずは自分で自分を認めてあげること。不完全な自分を許容すること。そしてその上で、自分には価値があるのだと思うこと。思えなくても、言葉にしてみること。口に出して言ってみること。
それがあると、徐々にではありますが自分の認識が変わってきます。
「10人いたとして、2人は常に自分の味方。2人は常に自分の敵。残りの6人は自分のことをどうでもいいと思っている人」というようなことを知った時に「自分が何をやったとしても、批判しかしてこない人間が一定数いる」という認識のもと、彼らが言ってくること、あるいは思っているであろうと「自分が感じる」ことに対して「気にしない」という判断ができるようになってきたなあという実感があります。
自分の手にコントロールできないことを気にしない、受け入れるという勇気。これができると、自分のエネルギーを減らしてしまうことが少なくなって、もし仮に今までとやっていることが変わらなかったとしても心が楽になるぶんだけ生きやすくなるし、エネルギーが減らない分だけむしろいろんなことにチャレンジすることができたりします。
というようなことが、専門的な言葉こそないものの、書かれている内容としては合致するかなあと思います。