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マンガでやさしくわかるNLP レビュー

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山崎啓支・サノマリナ著【マンガでやさしくわかるNLP】のレビュー記事です。

全体の感想まとめ

・マンガの割合は少ないが「やさしくわかる」はウソではない。
・人間の意識を作り出しているのは「五感」と「言葉」である。
・自己承認できる人でなければ、他者への承認はできない。

NLP=Neuro-Linguistic Programming=神経言語プログラミング、についての入門編として読みましたがわかりやすく理解できました。
いわゆる「引き寄せの法則」に代表されるような、スピリチュアルな側面を持つ自己啓発を「脳科学」と言う側面から考えてみたもの、というのがNLPというイメージでしたが、大体合っているかなと。考え方の一つとして持っておくと、楽に生きられるなと思います。

レビュー詳細

ビジネス本のマンガ版というのは、その内容を知る入門編としては最適だなあと思っているのですが、この本、「マンガでやさしくわかる」と謳われている割には、結構な割合が文字です(笑)。あれ?マンガどこだっけ?とか忘れちゃうレベルで文字です。

でもかなり読みやすい文体で、難しくなくNLPをなんとなく理解できるなあと思いますね。具体的なNLPのワークは、この本に書かれている以外にも他にもいろいろと方法がありそうなのですが、その概念を理解するには一番適しているかなと思います。

NLP、というのは「Neuro-Linguistic Programming」の略で、日本語訳では「神経言語プログラミング」と訳されます。通称とかでは「脳の教科書」とか言われたりしています。

NLPをひと言で説明すると、言語学と心理学を効果的に組み合わせた実践手法のことで、ビジネス・能力開発・コミュニケーションなど、人間の生活全般の質の向上に役立てるために発展してきました。
(Kindle版より引用 位置No.117〜)

NLPの「N」は「五感」を指しますが、そこから五感で感じること、すなわち「体験」を意味します。
プログラミング、という名称からもわかるように、何かの信号(=体験)があった時に、プログラムに従った反応が起こるので、それを利用しましょう、というような概念です。
NLPでは「意識」と「無意識」という概念が存在するとしていて、無意識の中に、ある一定の流れに沿って反応するように作られたプログラミングが存在するという前提です。人間の生存本能から「安全・安心」を確保するために作られたそのプログラミングを、「言葉」と「五感」を使って変えていこう、というアプローチが多くあります。
そこには、人間の思考活動は全て「言葉」である、という原理原則があります。

私たちが自分自身や仕事などをあれこれ考えている時、意識が鮮明でハッキリしているのを感じるでしょう。じつは、こうやって何かを考える時(思考を使っている時)に私たちは「言葉(言語)」を使って考えています。
(Kindle版より引用 位置No.177〜)

このあたりは「なぜ、あなたの思考は現実化しないのか?」「3秒でもっとハッピーになる 名言セラピー+(プラス)」で書いているような「使う言葉を変えれば、現実が変わる」といったこととも共通するかと思います。

例えば過去に起こった事実は変えられなくても、その解釈(意味付け)は変えられる、ということがあります。
NLPではこれを、五感を通じた「イメージ」を変えることで、過去に起こった事実への解釈を変えるという方法として実践します。
・物事を主体的に見る「アソシエイト」
・客観的・俯瞰的に見る「ディソシエイト」
・物事の枠組みを変える「リフレーム」
・相手との信頼関係を指す「ラポール」
・相手のペース(価値観、関心ごと)に合わせる「ペーシング」
など、NLPには特徴的な言葉がいくつかありますが、やることは「過去の失敗へのイメージ、将来の成功へのイメージを変える」ことで、今を楽に生きましょうというのが一番シンプルで近い内容になるかと思います。

一番響いたのはPart.4「リーダーとして最も大切なこと」です。
書いてある内容の核は「承認」です。

人間が最も欲していることは「承認」されること。その理由は「承認」こそが究極の安全・安心をもたらすからです。「承認」の本質は相手を「受け入れる」という状態です。
(Kindle版より引用 位置No.1255〜)

人は、自分の体験から作り出した「価値観」をそれぞれ持っていて、その価値観というフィルターを通した状態でしか物事を見ていない。本書で例としてあげられているのは「極端な時間厳守の価値観」。時間を守ることが当然だという価値観で過ごしている人にとっては、時間は守るのが当たり前で、それが真実のように感じています。だから、時間を守らない人がいるとそれを責めたくなったり、自分の正しさを主張したりします。
特に「時間を守る」というような、一般的には「良い」とされている価値観の場合、そのフィルターの存在に気がつきにくい傾向がありますが、自分が価値観という名のフィルターを通してしか世界を見ていないことに気がつかないと、その価値観とずれた人の存在を疎ましく、苛立ちを感じてしまったりして幸福感は下がっていきます。
完璧主義は苦しくなる、というのが最近思うところですが、価値観についても完璧主義だと「自分の価値観が絶対に正しく、健全である」という思い込みを捨てられない可能性が高くなるので、楽に生きるのならば完璧主義は捨てた方が良いんじゃないかと思います。

そして最近思うところと一致していてなるほどなあーと思ったのが「自己承認」と「他者承認」です。
自己承認ができている人でなければ、他者承認はできない。自己承認ができていて「こうでなければならない」「こうあるべきだ」という価値観のフィルターから解放された状態はセルフイメージが高く、他者への批判をしにくく承認を行いやすい状態となります。
幸せな人生、最高の人生とはどういう人生のことを指すか。それは絶対的な基準があるわけではなく、人生を生きる主人公たる「自分」が、自分の人生をどう評価しているか。すなわち、「どんな出来事があったとしても、本人が幸せだなあと思っていれば幸せな人生と言えるし、不幸だと思っていれば不幸な人生と言える」ということです。

NLPの詳しいワークはわからなくても、具体的にイメージを持つにあたって、プラスのプログラミングとできるようにちょっと頭の中で考えてみる時間を作るとか、そのあたりならできそうだなと思うので、一日の中で少し、このNLPの方法を用いてイメージを膨らませてみる時間を作ろうかなと思いました。

 

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