田口智隆著【お金持ちになった人が貧乏な頃からやっていること】のレビュー記事です。
全体の感想まとめ
本書に書かれている「お金持ちになる方法」を一言で言えば、以下のようなことになるかと思います。
「収入の5%を自己投資のために使い、学んだことは即行動に移す」
個人的に響いた3つのポイントは、
①月の収入の内のできれば20%を自己投資する
②回収にはお金のメンタルブロックを外すことを意識する
③自己投資の際には次に「すぐ」起こす行動を意識する
という3つです。
少なめの分量の本なので、あっさり読み終えることができます。
レビュー詳細
2015年に書かれた本なので、ここ何年かで流行りのワード「アウトプット」こそそれほど出てきませんが、結局のところ書いてある本質は同じことと思います。
学びや気づきを得るためには自己投資が必要で、できれば収入の20%、それが難しければ5%でもいいので費やしたい。
そしてさらに大事なことは、学んだだけでは意味がないので「即行動する」ということを意識することである、という感じかなと。
目の前にチャンスがきたとき、チャンスに気づいてつかむ人もいれば、それがチャンスだと気づかないで終わってしまう人もいます。チャンスをつかむ人はどんな状況でもつかむし、チャンスを逃してしまう人は「今がチャンスですよ」と教えてもらっても生かすことができません。その違いは、運やカンやタイミングよりも、明確な差となるのは「勉強しているか、勉強していないか」なのです。
(Kindle版より引用 位置No.233〜)
自分、お金持ちじゃないのでお金に関してはよくわかりませんが、仕事とかしててもこれと同じようなことはあるなあと思います。
普段からずっと意識していて、常に思考の中にあることには些細なことでも気がつくことができますが、意識していないことは大事なことにも全然気がつかずにスルーしてて、後から勉強した後思い返して気がついたり、他の人に言われて気がついたり、ということがあったりします。
「神メンタル」とかにも書いてありますが、心理学で言うところの「カラーバス効果」というやつですかね。
本書で挙げられる「お金の使い方」3種類の概念は、わかりやすく参考になりました。
①消費
生きていくために必要なお金。住居費、光熱費など。
②投資
自分の将来の目標のために使うお金。
③浪費
無駄な出費。やめたいと思いつつもやってしまうパチンコや競馬などのギャンブル代、つい課金してしまうネットゲームなど。
浪費をなくし、消費を見直し、投資を行うというのが「お金持ちになるための方法」と言えるわけですが、それを可視化するための方法として挙げられているのが「お金のノート」。
自分が何にお金を使ったのかをひたすら記録し、しばらく記録が続いたら「消費」「投資」「浪費」の項目に分けて、それぞれの割合を見直していきます。
私の経験からすると理想的なバランスは、「消費70%、投資20%、浪費10%」です。お金持ちになる人はこのバランスを守っています。
(Kindle版より引用 位置No.611〜)
自己投資に20%、というのは、月収20万円の人なら月4万円。月収30万円の人なら月6万円。なかなかの金額です。
しかしながら勉強会やセミナーの類で言えば、半年間で30万くらいの価格帯のものは多くありますので、このあたりを考えると20%くらいはかけるべきということも言えるのかもしれません。
というか、この値段を考えるとやっぱり、本というのは自己投資としてはかなりコストパフォーマンスがいいよなあと思います。
20%かけるのは無理だから5%を・・・という場合で、月収20万円の人の場合で月1万円ですからね。一冊1400円くらいとして7冊買えるわけで、社会人の内月に7冊以上本を読むという人の割合は4%しかないらしいので(読んだ本から何を学ぶかという一番大事なことを忘れてはいけませんが)この時点でかなり上位にまで行けます。新書とか、Kindle本のセールを狙ったらもっと安く買えるものも多いですしね。
後は、大事なのはお金を使うときに「どういう発想になるか」です。
くり返しますが、5%でも20%でも大事なのはお金を使う時の発想です。1本20万円の高級なゴルフクラブを買ったとします。その目的が「高級クラブを見せびらかして満足したい」なら、「すごいですね〜」とチヤホヤされれば目的達成です。けれど自己投資的発想からすると、自己満足以外に何も生み出さないこのお金の使い方は単なる「浪費」です。
(Kindle版より引用 位置No.836〜)
この事例で考えるべきことは、「高級クラブを見せびらかして満足したい」人にとって、20万円のゴルフクラブを買って見せびらかすだけでゴルフをやらないという状況は本当に「浪費」なのだろうか、ということです。
ネットゲームの課金も同じようなことが言えると思いますが、自分にとって本当に大事で、それにお金をかけることが幸せだと思っているような出費は「浪費」とは言えないのではないかと思います。本書的な定義でいった時に「自己投資」に値するかは微妙なところかと思いますが。
例えば「ネットゲームを作る会社に勤めていて、他社のゲームを研究するために時間とお金を費やす」というような場合にはこの出費は「自己投資」と言えそうですが、いわゆる「課金」がそれに値するかと言われると、うーん、どうでしょうね・・・
次に響いたのが、おそらく日本人が特に陥りがちな「お金のメンタルブロック」問題。
お金のメンタルブロックをざっくり言えば、自分が未熟だから、まだ経験が浅いから、他人に価値を提供していてもその対価として「お金を受け取ってはいけない」と感じてしまったり、ボランティア的にタダでやってあげることが美徳であると感じてしまったりするという現象のことです。
多くの人は、無意識に「お金=悪」「お金持ち=悪い人」といったイメージを持っているようです。そのため人からお金をもらうことに抵抗があるというか、「お金をもらう」ことは悪徳で、「タダでやってあげる」ことは美徳だと考えているフシがあります。
(Kindle版より引用 位置No.1170〜)
この「お金がもらえない。お金をもらうのが申し訳ない」という心理的なブロックが、自己投資の「回収アレルギー」を招いています。
(Kindle版より引用 位置No.1176〜)
いやこれ、ほんと陥りがちなところがありますよね。自分の提供している「価値」が、どの程度の対価を受け取るのに十分なものなのかが全然わからないので、それを低く見積もりがちというようなところはあると思います。高く設定して批判されるのが怖い、とかもありそうなところです。
一番最後に重要なのは「即行動」の部分。
セミナーや勉強会に参加すると、その場では「わかったような気になる」というのはよくあることで、大切なのはその後「自分の行動が変わる」ということ。行動が変わらなければ、結果が変わることはないということを意識する必要があります。
実際、本を読んだ場合でも「人に教える」という形でアウトプットしてみると、全然理解してないなということを思い知らされることは多くありますので、そもそも本を読んだり、勉強会に参加する時点で何を得ようとするか、次に何をやろうとするかを意識しながら行うことが大事なのだろうと思います。
「即行動」は成功には大切な概念なのでしょうが、ある程度の知識がないと明後日の方向に突っ走っていってしまって、本来得たい結果とは真逆の結果になる、ということも多いような気がするので、そのあたり意識して、インプットとアウトプットを繰り返していきたいと思いました。