上岡正明著【死ぬほど読めて忘れない 高速読書】のレビュー記事です。
全体の感想まとめ
・時間や場所を変えながら1冊を30分で3回読むという「高速読書」で、インプットの量を爆発的に増やすことができる
・本を読む前に、その本から何を学ぶかという「目的意識」「課題意識」を大切にする
・読書自体が楽しみである場合には、ゆっくり読書し楽しみの世界に浸るとよい
・大事なのは「漢字」「逆説の接続詞」
・その本から学んだことをどう行動にするかをまとめるノート(アウトプットノート)を作る
慣れていかないと難しい側面も多そうな気がしますが、いわゆる普通の読書と区別しながら、「速く効率的に読む」か「じっくりと読書を楽しむ」かを選択すればいいのかな、という印象でした。
レビュー詳細
読書を習慣づけようと思って頑張っている時、意識したくなるのがそれに要する時間。
同じ一冊の本を読んで、かつ「同じ知識量が得られるなら」もしくは「同じ気づきが得られるなら」、時間が短いに越したことはありません。
特に「本は多読してなんぼである」ということは多くの知識人・いわゆる成功者の方たちが言っていたり本に書いていたりして、1日24時間という限られた時間しかない中でどのようにそれを確保するかは、非常に大きな課題です。
1日に1時間、本を読む時間を確保したとして、30分で1冊読める人だったら1日2冊=年間で730冊読めますが、2時間かかる人だったら年間で読める冊数は180冊くらいにしかなりません。どうせなら、短い時間でたくさん本を読みたいよね、という発想になるのは当然のことです。
この本では「高速読書」という方法として、「時間や場所を変えながら、1冊の本を30分で3回読む(正確には、1回目は15分、2回目は10分、3回目は5分で読む)」というやり方を提唱しています。
1回目でドッグイヤー(角の折り目)をつけ、2回目はそこを中心に読み、3回目はそこから何を行うかを考えつつ書き込んで行く、という感じです。
なお、いわゆる「速読」については「目的が違う」=「速読の目的は速く読むことだが、高速読書の目的は読んだ知識を人生に生かすことだ」という視点からバッサリと切っています。
・1冊の本を3回に分けるのは、分散効果を期待するため。
一夜漬けで詰め込む知識より、同じ時間を3回に分けて復習しながらやった方が記憶に定着しやすいというアレが近いイメージでしょうか。
・読書を行う時間は、タイマーをセットして集中力を高める。
これは、「いつまでに」という締め切りを先に決めてしまうと効率が上がるという、いわゆる「締め切り効果」に近い概念かと思います。
・高速で読むためのポイントは「漢字」「逆説の接続詞」「理由の接続詞」。
簡単に言えば「ひらがなをすっ飛ばして漢字だけ読んでもそれなりに意味がわかる」ということ。
そしてひらがなで書かれていることが多い部分の中で、重要なことが書かれている時に使われるのが「逆説の接続詞」「理由の接続詞」ということ。
◎本を速く読むために重要になる接続詞。
□逆説の接続詞 ところが、しかし、だが、けれども、いっぽう
□理由の接続詞 つまり、なぜなら、要するに、というわけで
(Kindle版より引用 位置No.880~)
「要するに」なんかは、その後に要点がまとめられるのだろうなという表現ですのでわかりやすいですが、これらを意識しながら(探しながら)本を読む、ということになるでしょうか。
そして最後に行うのが「アウトプットノート」。
アウトプットノートとは、簡単にいうと、本で得た知識を、自分の具体的行動につなげていくために書くものです。アウトプットノートを書くことを前提に、「本で得た知識を、どう自分の行動につなげるか?」を考え、その内容を青ペンで本に書き加えていくのが、3回目のアウトプットリーディングです。
(Kindle版より引用 位置No.1024~)
このあたりが、いわゆる「速読」=単に本を読む速度を速くするということを追求しただけのものではない、という差別化のポイントかと思います。3回目のリーディング=5分で、果たしてノートとして書きとめることを気にしながら、あるいは書き加えるという作業をしながらできるかどうかはなかなか難しそうな気がしますが、最終的に「その本から学んだことを、実際の行動にどのように活かすか」を考えることは非常に大切だろうと思います。
Kindleなどの電子書籍では書き込むことができないので全く同じ方法は使えませんが、ドッグイヤーはブックマークやハイライトで大体同じことが可能なので、本に書き込む部分を、他のノートを用意するかKindleだったらメモ機能を使うか、という形で工夫するのがいいのではないかと思います。
今後、この方法を取り入れた読書の仕方で何ができるのかを、それこそこの本を「高速読書」して、「アウトプットノート」として考えてみました。
①読む前に目的を考える
必要に応じて「まえがき」や「目次」の活用を行う。
(高速読書では「目次」は「どうせ本文を読むのだから読む必要はない」とされていますが、内容をざっくりと把握し学ぶ目的を考えるのには読んだ方がいいのではないかと思います)
②じっくり読むと決めた本は、高速読書を行わずゆっくり楽しむ
③1回目はブックマークやハイライトをつけながら、重要そうなところにチェックを入れながら読んでいく。
2回目はその箇所を中心に読み直し、本の内容の概略を把握する。
3回目はそれらの内容から「次に自分が何を行動するか」を意識して書き出す。
こんな感じになるかなあと思いました。200ページを15分で読み切るというのは、実際にやってみると正直フォトリーディングとかのいわゆる速読とどこが違うのかよくわからないという感覚はあるものの、「漢字」「接続詞」を拾って読んでいく(=他の文章を読み飛ばす)といったことで、徐々に慣れてくるのかなあと思います。
少し時間を確保して1回目25分、2回目15分、3回目10分としても1冊50分におさまりますので、あまりこだわりすぎずにやってみるのがポイントなのではないかと思いました。