書評・レビュー

新装版 非常識な成功法則 レビュー

f:id:romulus_k:20191121132237p:plain

神田昌典著【新装版 非常識な成功法則】のレビュー記事です。

全体の感想まとめ

・2020年時点ではいわゆる成功法則としてそれほど「非常識」ではない
・ポジティブ推しだけではうまくいかない、「悪」の感情を利用する
・目標は紙に書くと実現する。が、本当にやりたいことは何か?をしっかり意識することが大切である
・成功するためにはテープを聴け
・お金に対する罪悪感はダメ、ゼッタイ。

全体の印象として残ったのはこのあたりでした。
いわゆる成功法則の本、ということでガッツリ自己啓発本に入るかと思いますが、書き方が軽いので読みやすく、楽しい本です。

レビュー詳細

この「非常識な成功法則」は、初版が2002年。2020年時点で、実に18年以上売れ続けているという本です。
今回読んだのは「新装版」なので2011年に内容を一部修正されているものです。

タイトルに「非常識」と入っていますが、内容は「現時点においては」それほど目新しい内容はないかな・・・という印象です。全般、いわゆる自己啓発本の類では割とよく目にする内容かなと思いますが、著者自身がそう書いています。

この本に書いてある成功法則は、10年前はそこそこ新しかったけど、いまや、他の本にもフツーに書いてある。
(Kindle版より引用 p3)

いわゆる成功法則は「ポジティブ推し」のことが多くあります。日常使う言葉をポジティブなものにし、「自分にはできる」という感覚を養い、その結果自らの行動が変わり、必要な行動を起こすためのハードルが下がり、成功するのである、という内容です。
本書では、それに加えて「悪」のエネルギー、つまりポジティブ推しにとっては「敵」とも言える「恐れ、不安、怒り、嫉妬、敵対心、見栄、虚栄心」こういった感情を活用する方法が提唱されています。

ところが、実際問題として、この「悪」の感情というのは、非常にエネルギーが高い。
(Kindle版より引用 P36)

つまりはマイナスの感情を利用してプラスに変換してしまえ、というようなことでしょうか。
感覚として、成功している誰かを見て悔しいと感じて、それが自身の行動の原動力となる、というようなパターンは多くあります。
問題の本質は「そう思っていることを否定するかどうか」というところにあるのではないかと思います。

「悪」の感情は、そこにあるのだから、否定しても仕方がない。成功したいなら、認めてあげよう。そして、そのエネルギーを、ちゃっかり利用する。
(Kindle版より引用 P38)

ポジティブ推しが過ぎると、つい「ネガティブなことを思ってはいけない」という発想にとらわれて、なんならそういう「ネガティブなことを考えている自分に『落ち込む』とか『苛立つ』とかネガティブなことを思う」などということになりかねませんが、この「そこにあることを認める」という発想はとても大事だなあと思います。
プラスの感情も、マイナスの感情も、どちらもとても大事で、自分の中にそのどちらもあることを認識した上で、じゃあそれらをどう活用してやろうか、と考える。ということが重要なのだと思います。

その後の記載は
・目標は紙に書くと実現する
(紙に書いて、朝晩見つめてニタニタする)
・過去というのは過去に起こった事実への解釈の「記憶」に過ぎない
(記憶は思い出すたびに再構成されるので、同じ事実をどう解釈するかを変えれば、過去は「変えられる」ものになる)
・目標設定の原則-SMARTの法則
(Specific・・・具体的である、Measurable・・・計測できる、Agreed upon・・・同意している、Realistic・・・現実的である、Timely・・・実が明確である)
・目標を明確にした後に、実現への速度を速めるにはPCで言うところのCPU「セルフイメージ」を上げることが重要

目標は紙に書くと実現する、ということの詳細のくだりで、まず「やりたくないこと」を明確化しなさい、というところは新鮮でした。
今この瞬間に、人生から消し去りたい嫌なことをできるだけ多く紙に書く。そこから、「やりたいこと」を導き出していく、というやり方は、あまり見ないかなあと思いました。
例えば「神メンタル」では、目標設定を具体的にするために「画像」を利用しましょうという提言をしているし、目標を実現するためにはそれを具体的に意識することだということを書いてある本はたくさんあります。
問題は、その目標=やりたいこと、が不明確で、実際にやりたくないこともそこに含まれているがために、実際の行動の際にハードルになってしまう(行動が続かない)ということです。
このあたり、「自分は本当は何をやりたいと思っているのか」を見つめる方法の一つとして、本書の「やりたくないことの明確化」は役に立ちそうだなと思いました。

この本の中で、一番印象に残ったところを挙げるならば、「成功するためにはテープを聞け」という部分。
2002年時点では、いわゆる成功者と言われる人たちの講演やセミナーの内容をそのまま聞くことのできるツールというのはあまり存在していなかったわけですが、これ、今で言えばYouTubeがその入口だなあと思いました。

「お前が独立してうまくやってきた、最大の秘密を吐け。さもなければ命はない」
そう、脅されたとすれば、何を挙げるだろうか?
私は躊躇せず「はい、テープを聴く習慣です」と答える。もちろん、楽しみのために音楽のテープを聴くんじゃないよ。成功した経営者や優れたコンサルタントの話のカセットテープ、いわゆるビジネス・テープを聴くのである。
(Kindle版より引用 P130)

昨年あたりからYouTubeには「教育系YouTuber」が多く登場するようになっています。
・メンタリストDaiGo さん
・中田敦彦のYouTube大学 さん
・イケハヤ大学 さん
・マコなり社長 さん
・YouTube講演家 鴨頭嘉人 さん
・マナブ さん
・両学長 リベラルアーツ大学 さん
・人間力大學大嶋啓介 さん
・ホリエモンチャンネル さん
・ライフハックアニメーション さん
・プロコーチchannel さん
・平本式コミュニケーション さん

このあたりの方の動画を最近よく見るようになりましたが、実に勉強になります。
「本は疑似体験になる」というのはよく言われますが、それぞれの動画で本人の口から語られる本人の経験は、やっぱり映像と音声というのが含まれているからなのか、さらにイメージ深く理解できるような気がします。
このあたりのチャンネルで配信されているYouTubeが、果たしてこの本で言うところの「ビジネス・テープ」に合致する内容かどうかは動画によっては微妙な気もしますが、昔だったら絶対に聴くことができなかったであろう、遠い場所で開催されている講演会の内容の一部をそのまま聴くことができるという動画もそれなりにあるので(しかも無料)、テクノロジーの進化というのはすごいものです。

終盤に書かれている「お金」に関する話は、ドキッとさせられるものがありました。

「世の中に役立つことをやっていれば、お金は後からついてくる」
「ワクワクすることをやっていれば、成功する」
あなたも一度は聞いたことがある言葉だろう。
これらの言葉は、耳に心地よく聞こえる。しかし私は、聞くたびに、首を傾げる。
(Kindle版より引用 P192)

起業家にとって、金銭教育はもっとも重要な知識である。
(Kindle版より引用 P193)

お金がなければやりたいことはできないし、それを稼ぐという発想に対して罪悪感を抱いてしまう場合も多くあって、それに対する逃げ口上、理由として「世の中に役に立つことをする」「ワクワクする」ということを使っていませんか、という内容なわけですが、ボランティアは尊いものであるみたいな感覚を小さい頃からしっかりと刷り込まれていると、お金を得ることに対して申し訳ない感覚や罪悪感を生じてしまうものだなあと思います。
自分にも、お金に関するメンタルブロックがまだあるなあと思います。こういったことを学び始める前よりはマシですが。
大切なのはお金を得て、それを「回す」こと。罪悪感を抱くとしたら、お金を稼ぐだけ稼いで貯め込んで「使わない」ことだ、というのが今の自分の考えに近いです。

終盤に書いてある著者の3つの反省点、
・完璧を目指さないこと。不完全、曖昧さを許容すること。
・家族を大切にすること。
・稼いだお金を有効に使うこと。
を意識しつつ、楽しく生きられる方法を探していきたいなあと思いました。

-書評・レビュー

© 2024 ドクショサイズ