書評・レビュー

どん底はツキの始まり 逆境をチャンスに変える成功脳メソッド レビュー

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西田文郎著【どん底はツキの始まり 逆境をチャンスに変える成功脳メソッド】のレビュー記事です。

全体の感想まとめ

・どん底にいる時に「ピンチ」と思うか「チャンス」と思うかは、自分で決められる。
・100回のマイナス思考も、101回目のプラス思考で打ち消すことができる。
・大事なのはプラス思考に至るための「言葉」を変え「動作」を決める(クリアリングする)。

メンタルトレーニングという概念を広めた西田文郎さんの本ですが、読みやすい書き方の本で、楽しく読み進めることができます。本の内容としては、過去の成功者たちがどのような思考で成功に至っていたのかという分析から、どのような思考を持てばよいのかという部分の解説と、じゃあどうしたらそういう思考になれるのかということが書かれています。

レビュー詳細

著者である西田文郎さんは「日本に『メンタルトレーニング』という概念を初めて持ち込んだ人」と言われています。特にスポーツの業界において、メンタルの重要性は今や当然のものになっていますが、かつてはそれとはかけ離れたような状態が続いていた時代もあっただろうと思います。

本の冒頭では、「物事に対する認識」がどれだけ行動に影響を及ぼすかと言うことが、お化け屋敷を例に挙げて記載されています。

もし、外国人が日本のお化け屋敷に入ったとしたらどうなると思いますか?それはそれは大喜びです。お化けの代表選手、ろくろ首や唐傘お化けと言ったキャラには、もう、「アメージング」だの「ファンタスティック」だの歓声が飛び交うほどです。外国人には、日本のお化けが怖いという思い込みがそもそもないからです。
(Kindle版より引用 位置No.147〜)

お化け屋敷が怖いのは、事実としてお化けが怖いということがあるわけではなく、それが「怖い」という感覚があるというだけである、というわけですね。
小さい頃から育っていく間で、お化けが怖いということを何度も何度も刷り込まれていって、それが「怖い」というのを自然に感じるようになった結果、当たり前のように「お化けは怖い」を受け入れるようになるわけです。
虫嫌いなお母さんに育てられた子は虫嫌いになりやすく、動物嫌いなお母さんに育てられた子は動物嫌いになりやすい、というようなこともありますよね。

つまり、人間の「思い込み」が大きく行動に影響している、ということです。
そしてそれは時に、自分の中で既に「当たり前」となっていることでも、他の人の感覚からすると全く別のものになっていたりします。
その代表的なものが「逆境をチャンスと捉えられる能力」であり、またそれができることが、行動の幅を広げて成功へと繋がっていくものである、ということなのでしょう。

世の成功者として挙げられているエジソン、本田宗一郎、孫正義。これらの人たちは、知識量や頭の良し悪しではなく(実際に持つ知識量はもちろん多いし、頭も良いとは思いますが)、それよりも大事なのは「基本的なイメージ力の違い」であると言います。
多くの人が「無理だ」と思うようなことを「できる」と思って、そのまま実現してしまった人たちです。
こういう人たちは「逆境」にいる時にそれを不安に思ったりするわけでもなく、逆に「伸びるチャンスが来た!」とか、ワクワクしているような状態があったりします。

こういう状態に、どうやったらなれるのか。
そのためにはやっぱり、基本「プラス思考」です。
本書では「快」「不快」の振り子で例えられていますが、ずっとマイナス思考という名の「振り子が不快に振り切っている状態」を何度も何度も刷り込んだ結果、その通りのダメ人間になってしまう、と書かれています。
ただし同時に、イメージとして描いた願望を論理で詰めていく能力も必要である、としています。

空前の右脳ブームのせいか「大切なのはプラス思考」などと言う人が最近は本当に多くなりました。たしかにそのとおりで、成功をイメージする右脳トレーニングはとても重要なのですが、今の世の中で本当に成功しようとしたら、そこで描いた願望を論理的思考で詰めていく能力も必要です。
(Kindle版より引用 位置No.690〜)

確かに、「自分はできる」とか、いわゆるアファメーションが重要であるということが書かれている本をよく見ますが、インパクトの強いそういう部分だけではなくて、具体的にイメージしたその願望に対して「今何をするか」というレベルまで落とし込んでいくことはやっぱり重要ですよね。

たとえ100回マイナス思考になっても、101回目にプラスの情報を送り込んで消しておけばそれでOKなのです。この消し込みのことを「クリアリング」と言います。
(Kindle版より引用 位置No.947〜)

プラス思考が大事ですよーということを繰り返し言われていると、マイナス思考になってたり気分が落ち込んでいたりする状態を「いけないこと」と思ってしまって、そう思う自分を嫌になってマイナス思考になり、さらに気分が落ち込んでいってマイナス思考に・・・みたいな、マイナス思考のループになったりします。101回目にプラスの情報を送り込んで消すためには、一旦この「100回マイナス思考になっている自分」を受け入れる必要があるかと思います。僕の場合は「自分は今こういうマイナス思考になっている。そうだよね、そう思ってしまうよね、仕方ないよ」みたいなのを一旦自分に言葉がけをするというのが、いいんじゃないかなと思ってやることが多いです。

最終的には、やっぱり大事な「言葉を変える」ということ、そしてクリアリングのための「動作を作る」ということが出て来ます。医師の集まるセミナーで「ガンという言葉をポンに変えろ」と真剣に訴えている、という部分があるのですが(位置No.1091〜)、胃ガンじゃなくて胃ポン。実際に変わるかどうかは別にして、確かに疾患が治りそうなイメージにはなるかも・・・と思いました。

イメージとは、空想でなく「錯覚」である。

後半にこのメッセージがあるのですが、願望を実現するために具体的なイメージを描きましょうというのはよく書かれていることですが、それが空想と違うのは「錯覚」であると。自分の将来に対して肯定的な錯覚をしている人は、そうなるように行動していくものである、ということですね。

すべては錯覚で、脳が作り出していることなのです。たまたまリストラにあっても、「オレを手放すなんて、なんてツイてない会社だ」と肯定的錯覚をしていたら、その人にとってリストラは、逆境ではなくチャンスになってしまいます。
(Kindle版より引用 位置No.1239〜)

確かにこれ、大切なところだなあと思いました。ただ単にイメージするだけでなくて「実際にそう思っていること」が大切なのだということなのですが、実際にそう錯覚するのもすぐにはできないので、そのためには繰り返し繰り返しインプットしていく、というようなことが必要になってくるのかなあと思います。
なお、この「錯覚」は、引き寄せの法則そのものですね。なりたい自分や願望を具体的にイメージして、「もうそれが手に入っている」感覚になった時、それは実現する(そうなるように、行動が変わっていく)というやつです。

夢実現法則には、次の4つのポイントがあります。
1.まず、大きな夢を持つこと
2.自分と同じような大きな夢を持つ仲間を持つこと
3.夢の話を聞いてくれる友を持つこと
4.夢を支え続けてくれる人を持つこと
(Kindle版より引用 位置No.1362〜)

<成功するための7つのソフト>
1 成功イメージを持ち続ける 【成功のソフト】
2 わくわくチャレンジする 【喜びのソフト】
3 悔しい気持ちを忘れない 【意地のソフト】
4 自分を信じることのできる 【自信のソフト】
5 ひとりではなく心の支えを持つ 【応援のソフト】
6 素直な自分でいるための 【叱りのソフト】
7 ストレスに負けないための 【癒しのソフト】
(Kindle版より引用 位置No.1557〜)

まとめて書いてあるこのあたりが、持つべき考えの基本的なものとして役に立つところと思います。
わくわくチャレンジする、というあたりは大嶋啓介さんの「日本一ワクワクするリーダーの教科書」でも詳しく取り上げられていますが、未来に肯定的な錯覚を起こし、自分を信じて他人を信じて、ストレスをコントロールしていく(ストレスを、ストレスと感じなくするようにする)というところを意識していきたいなと思います。

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